トラウマとは?
トラウマは、精神的なものだけではなく、身体反応を伴う体験でもあるので、「トラウマとは、生命や身体に脅威を感じるような危機的体験とそれがもたらす影響」です。
どのような出来事がトラウマ体験になるのかは、客観的なものではなく、個々の主観的体験によります。
同じ体験をしても、ある人にとっては大したことのない体験でも、生命や身体の危機として体験した人にとっては、トラウマ体験になります。
最新の神経生理学的、生物学的な研究も踏まえたトラウマの理解では、トラウマとは身体的なものであり、日頃の生活の中にトラウマ体験となる出来事は溢れていて、誰にとっても身近なものであり、最近の専門領域では、身体や生命の危機が伴わなくても、その人の心を強烈にかき乱すような体験もトラウマ体験になることがわかってきています。
日常的な人間関係や仕事上のショックな体験、酷い体験、恥ずかしい体験をして心を強烈にかき乱す体験をすると、人によってはトラウマ体験になります。
くわえて、自分以外の身近な人の心痛むショックな体験、酷い体験、屈辱的な体験を知ることで、自分の心が強烈にかき乱される体験をすると、それも人によってはトラウマ体験になります。
こうした体験をすると、しばらくトラウマティックストレス反応が続くのですが、それに気づき、無理せず、体験した出来事の気持ちの整理など、心と身体反応のケアをしながら生活していくと1ケ月から数ヶ月でトラウマ反応は低減し、消失していきます。
しかし、自分は大丈夫と思ったり、トラウマ体験であることに気づかずに過ごして、心のケアをしたり身体のケアをしないまま、日常をいつも通り頑張って過ごし続けていくと、心の傷として残ったり、トラウマ反応が残ってしまうことがあります。
トラウマ反応
トラウマ体験をすると、「こころ」が苦しくなったり、「こころ」が痛むなど感情的な体験をしますが、実はトラウマの影響は感情的なものだけではありません。
トラウマを抱えると、慢性的な身体の緊張や疲れ、原因不明の疼痛、不眠など身体にも影響を与えたり、生活の中では対人関係(特に本人にとって大切な相手との人間関係)にも影響を与えます。
トラウマの影響によるものとして例えば次のようなものがあります
感情が麻痺したり、ひどく感情が高ぶったり、ひどく落ち込んだり、怒りなど、感情のコントロールができない。 |
怒りが自分に向かい、自分を傷つけてしまう。 |
日常で体験していることをぽろぽろ忘れてしまったり、逆に、ちょっとした出来事を隅々まで鮮明に記憶していて忘れられない。 |
自律神経系や免疫系の調整不全、慢性的な頭痛、腹痛、全身の痛みなど原因不明の疼痛や、喘息、慢性疲労症候群や過敏性大腸炎など心身症。 |
トラウマ体験の前と後での時間経過による価値観の変化や物事の受けとめ方の変化により、人を信じられなくなったり、希望を持てなくなったり、白黒思考が強くなっていくなど。 |
上記はほんの一部ですが、このようにトラウマは、心身、そして対人関係など、多岐にわたり影響を与えるということがわかっています。
トラウマ体験
トラウマになる可能性のある体験はいろいろあります。
事故や単回の暴力・自然災害などの単回性のトラウマ体験と、虐待や家庭内暴力、いじめ、ハラスメントなど長期に渡って繰り返される継続的なトラウマ体験、子供時代の親の不適切な関わりによる発達トラウマななどがあります。
また、近年の脳科学や神経科学の研究によって、実は、誰もが日常生活の中で経験していることでも、その状況やタイミングなどによってトラウマ体験になることがわかってきています。
トラウマは、実は日常的に抱える可能性のあるものであり、決して特別なものではなく、生きていれば誰にも起こりうるものです。
日常生活の中で、トラウマ体験になりうること
日常生活の中で、トラウマ体験になり得ることの一部をご紹介します。
●映画・テレビ・読書・ゲームなどによるバーチャルな恐怖経験
●ひどい怪我をする
●病気によって高熱が出る経験
●重い病気の経験
●高い所から落ちる経験
●歩いている時、走っている時、自転車など乗り物にのっている時、人に押されるなどによって転倒する経験
●溺れる経験
●窒息しそうになる経験
●自動車や電車など乗り物に乗っている時の事故の経験
●犬やその他動物、蜂などの昆虫に噛まれたり襲われる経験
●麻酔の経験
●病院での医療処置や歯科治療や手術の経験
●困難な出産
●薬物や食べもにによる中毒の経験
●火傷
●パワハラ・セクハラ・マタハラ・モラハラなどハラスメントの経験
●暴力をうける経験
●脅かされる経験
●家庭内暴力を受ける、見る経験
●親の離婚や親族がもめる経験
●強盗や窃盗、住居侵入など犯人と出くわす経験
●愛する人・大切な人の死や突然死を経験
●ペットの死を経験
●身体的虐待、精神的虐待の経験
●子供のときの身体的、精神的な暴力・虐待の経験
●性暴力・性的虐待(性別関係なし)の経験
●戦慄の走る経験
●ひどい怒られ方・叱られ方、折檻、拷問の経験
●宗教やお祭りなど儀礼の中での虐待の経験
●戦争経験
●テロリズムに巻き込まれる経験
●自然災害(台風・津波・地震とそれに伴う災害)の経験
●その他
以上のような経験を直接していなくても、こうした場面に遭遇したり、偶然に居合わせて目撃した時も、体験の仕方によってトラウマ体験になり得ることがわかっています。
社会的・仕事・学業上での失敗や、ピンチの経験による高い緊張・ストレス状態も体験の仕方によってトラウマ体験になることもわかっています。
また、詳細が不明の体験(本人の記憶に全くない)によるトラウマ体験もあります。
他者にとって「何故?どうして?」という出来事でも、その人にとってはトラウマになることはたくさんあります。
トラウマカウンセリング

トラウマカウンセリングでは、トラウマ反応を癒して解消していくこと、そして、同時に、トラウマ反応の影響で生じている日常生活での心理的辛さや、人間関係の悩みや問題など現実的な悩みや課題の解消もサポートしていきます。
トラウマカウンセリングのアプローチ
トラウマカウンセリングのアプローチには、過去に焦点を当てるアプローチと現在に焦点を当てるアプローチ、そして、両方に焦点を当てるアプローチがあります。

過去に焦点を当てるアプローチ
過去の焦点を当てたアプローチは、クライエントにトラウマ体験を話してもらいながら、その時の感情や身体反応について癒していきます。
従来からのトラウマセラピーのアプローチは、暴露療法と言って、過去のトラウマ体験の焦点を当てて、詳細に思い出して言葉にしていく方法が主流です。
しかし、この方法は、クライエントの負担が大きく、全てのクライエントに有効とは言い難く、近年は、クライエントの過度な負担を低減して進めていくアプローチとして、過去のトラウマ体験を詳細に思い出したり、具体的に言葉にせず、現在のトラウマ反応や問題に焦点を当ていくアプローチがあります。
現在に焦点を当てるアプローチ
現在に焦点を当てたアプローチでは、現在のトラウマの問題に対処するために、クライエントが抱えている悩みや問題と、トラウマの影響との関係を理解して、なぜそうなるのかというメカニズムを知ってもらい、自分を守ったり、自分を元気にするケアの仕方などを身につけてもらいながら、トラウマ反応を低減していきます。
セラピーの効果については、過去に焦点を当てるアプローチ、現在に焦点を当てるアプローチのどちらも同じと言われています。大きな違いは、クライエントの心理的・身体的な負担の強さです。
特に、トラウマ体験そのものを話たくない場合、暴露療法は話すことそのものの心理的負担が大きく、それがトラウマカウンセリングを受けることを遠ざけていることもよくあります。
そこで、開発されてきたのが、現在に焦点を当てるアプローチです。
過去と現在の両方に焦点を当てるアプローチ
そして、もう一つは、現在に焦点を当てたアプローチと過去に焦点を当てたアプローチを組み合わせて進めていく方法です。この方法は、現在のトラウマの影響を受けた反応や症状、現実的な問題に対処してくなかで、過去の記憶が蘇ってくることもあるので、その時は、過去の体験に焦点を当てて癒していくアプローチです。この場合、過去の出来事を事細かく言葉にしなくても大丈夫な方法で進めていきます。
過去と現在の両方に焦点を当てるアプローチは、毎回のセッションで、その内容と体験に応じて、クライエントにとって役立つアプローチを選んで、柔軟に進めていきます。
カウンセラー池内秀行のトラウマセラピーは、現在と過去に焦点を当てるアプローチを組み合わせて行なっていきます。
脳科学や神経生理学等の知見を踏まえた身体指向アプローチ、ソマティクアプローチ
また、最近の脳科学や神経生理学等の分野で、こころと身体のつながりについて、科学的に証明される研究成果が増えてきており、特にトラウマ領域については、めざましいものがあります。
カウンセラー池内秀行のトラウマカウンセリングは、脳科学、神経生理学の知見に基づく、身体指向のアプローチ(ソマティクアプローチ)も取り入れて、自律神経の調整など、生理学的なストレス反応にもアプローチしていくことで、トラウマの身体的反応にも対処していきます。
トラウマセラピー(トラウマカウンセリング)のスタイルと料金
トラウマセラピー(トラウマカウンセリング)をご希望の方は、東京・恵比寿ガーデンプレイス内のセッションルームでの面談セッション、電話セッション、スカイプセッション、いずれかご希望のセッションでお申込みください。
トラウマセラピー(個人セッション)料金のご案内
セッション時間 | セッション料金(税別) | セッション料金(税込) |
60分 | 15000円 | 16500円(税込) |
90分 | 21000円 | 23100円(税込) |
120分 | 27000円 | 29700円(税込) |
延長10分毎 | 2000円 | 2200円(税込) |
セッション体験談(女性) | セッション体験談(男性) |
ご 案 内

こんにちは。カウンセラーの池内秀行です。
人それぞれ、いろいろな生き方と価値観、関係性があります。
自分自身の状況や状態、人間関係がどのような状態なのか、それを理解するだけで解決に向けて大きく前進することも沢山あります。
ニーズに応じて、個人セッション、カップルカウンセリング、ペアカウンセリング、家族カウンセリング・トラウマカウンセリングを提供しています。
初めての方も安心してお越しいただける環境を心掛けています。
東京・恵比寿での面談セッション、国内在住・海外在住の方を対象にしたリモートセッション(Zoom_Skype_LINE_電話)を行っています。
お申込みは、予約状況をご確認の上、申込フォームまたはお電話でお申込みください。
お問い合わせはお電話またはメールにて受け付けております。
まずはお気軽にご連絡ください。
セッションルームのご案内
セッションルームは、東京・恵比寿ガーデンプレイス内にあります。
所在住所は目黒区三田になりますが、渋谷区恵比寿と品川区上大崎(長者丸)の行政界に位置していますので、近隣の目黒区中目黒、目黒区目黒、渋谷区代官山町、渋谷区東、渋谷区広尾、港区白金台からも徒歩圏内の距離です。最寄り駅は恵比寿駅(JR_地下鉄)、目黒(JR_地下鉄)です。広尾(地下鉄)、白金台(地下鉄)、中目黒(東急_地下鉄)からも徒歩圏内です。