自分探しの旅の終わり

自分になる

「つい最近、昔、参加したビジネスセミナーで、自分の夢を語ってくださいという実習があって、そこで「自分になりたい」という話をしたことを思い出したんです。そしたら、私、今、自分になっているって気づいたんです。」

最近、セッションの中でクライアントが教えてくれたことです。

生き活きとした目と表情でクライアント自身が求めていた体験をしている様子を話している姿をみて、本当によかったなと思うとともに、その喜びがありありと私にも伝わってきて、私も嬉しい体験のお裾分けを頂きました。

「自分になる」ということについて、いろいろな説明と見解があると思います。

しかし、それはそれ。

何よりご本人が実感していることが全てを語ってくれます。

そこには言語化できない感覚的なものもたくさん含まれているからです。

感じられている感覚>価値観・考え方

それでも一つ言えることがあります。

人は、【価値観・考え方>感じられている感覚】ではなく【価値観・考え方<感じられている感覚】の状態にいると「自分」というのを実感できるようになるということ。

そのためには、古くから「第三の目」「観察する自己」など、自分自身をありのまま客観的に観察できるようになることが早道です。

この「観察する自己」は、スキルとして身に着けることができます。

私のカウンセリングセッションの中では、自分自身に気づいて言語化していくプロセスをサポートしていきますが、そのプロセスの繰り返しによって「観察する自己」が育まれていきます。

クライアントは、セッションの中で、自分の気がかり・悩み・問題解決に取り組んでいくなかで、自ずと「観察する自己」が育まれ、日常生活の中で、自分を含めた客観的な視点をもって生活していくようになっていきます。

心理臨床では「メンタライゼーション」とも言います。

本当の自分とは?

古くから言われる「本当の自分」というのも同じ説明がつくと思っています。

本当の自分を探す旅。

これまでの臨床の経験則から言えることがあります。

自分探しに成功した人は共通して「観察する自己」が育まれ「自分自身を感じられ、自分を無条件に受容出来るようになった人」です。

今も自分を探し続けている人の多くは、「実は自分の役割を探している人」であることがよくあります。

違いは、自分の役割を探している人は、見つけた役割が役目を終えるとまた次の役割を探し始めるという繰り返しを続けていて、自分が成し遂げたことを受け入れることや休んでくつろぐことが出来ない状態が続きます。

自分探しの旅の終わり

自分の役割を探している人の「観察する自己」が育まれて、自分を感じられ受け入れられるようになると、自分探しの旅が終わります。

そう、探さなくてもいつも自分は一緒にここに居るのがわかるからです。

何者かに成る必要がなくなるからです。

井上陽水の歌の歌詞の一節に「探すのをやめた時、見つかる話もよくある話で」というのがあります。自分探しの「自分」を見つける入口としては、正にその通りという感じの歌詞です。

習慣を変えていくことで「自分になった」という実感が湧いてくる

ただ、「観察する自己」が育まれ、いろいろな自分を受け入れられるようになっても、次のステップが待っています。

それは、これまで受け入れてきた価値観や考え方、他者から否が応にも植え付けられてきた価値観や考え方に基づいた姿勢や言動を変えていくというステップです。

その中には、「変える必要があるもの」と「変えなくて良いもの」両方があります。

自分を役割に縛りつける自動反応の習慣に気づいて、新しい習慣に変えていくのは、なかなか大変な作業ですが、確実に人生で体験することが変わっていきます。

昔から言われる「本当の自分に成る」というのも、そもそも成るものではなく、本当に言いたいことは、「今、自分自身が感じていることに気づいて、価値観や考え方の影響から距離をとり、自分が必要としていることを得たり行ったり与えたり、望むものがあればその方向へ歩んでいくこと」であって、そのプロセスの先で一区切りつくとまた次の望みが出てきたら、そこに向かうということだと思います。

癒しや回復のために感じられるようになることは大切ですが、それは始まりであり、その歩みの先には、現実的な人生を生きている、ありありとした実感をともなった日常があります。

そこは夢の世界ではなく、リアリティのある実感を伴う世界です。

トラウマの影響

トラウマも「自分であること」ことを阻みます。

トラウマ反応は、危機的状況から身を守るための生物としての反応なので、その反応である、過覚醒やフラッシュバック、解離、感覚の麻痺などの身体反応や身体症状は、防衛反応なので、自分自身でいるよりも、身を守る方を優先する反応だからです。

でも大丈夫です。トラウマの影響がある場合、援助を受けながら、安全にそのトラウマを癒していくことで、不必要な状況や場面での防衛反応がなくなっていきます。

マインドフルネスとトラウマ反応

最近、ようやく一般に注目をあびだしたマインドフルネスも、続けていくうちに自分のトラウマに気づくこともあります。

私の臨床の経験則からは、気づいたトラウマを無視したり見ないようにすると、マインドフルネスの恩恵を享受することが難しくなります。

マインドフルネスの実践で自分のトラウマに気づいたら、生き方を変えることも大切ですが、同時にトラウマセラピーを受けて癒しに取り組む方が安全です。

トラウマはトラウマで、トラウマセラピーを受けた方が、確実に楽になっていくからです。

実際、マインドフルネスを取り入れたトラウマセラピーでは、瞑想をしている人の場合、それがリソースになり、プロセスがダイナミックに展開していくことがよくあります。

トラウマの身体レベルの反応は、一人ではなくカウンセラー(セラピスト)の援助を受けないと取り組むのが難しいものが多々あります。

また従来の記憶や感情の処理を軸にしたトラウマセラピーとは別に、身体感覚に働きかけるトラウマセラピーでは、生物学的・生理学的な癒しが起こり、深いリラクゼーションをもたらし、再び身体の芯から自分の力を感じることが出来るようになっていきます。

また、頑なに守ろうとする価値観や考え方、そして相容れない価値観や考え方の強い否定は、身体レベルのトラウマが癒されておらず、その影響を受けていることもよくあります。

その場合、身体レベルのトラウマの癒しが進むについれて、物事の捉え方が柔軟になり、多様な価値観や考え方を認めることが出来るようになっていきます。

変わっていく身体

「セッション受ける前と今とでは身体が変わっているのがわかるんです。」

「そういえばセッション受ける前を思うと今は酷い肩こりなくなったんですよね。」

「腰痛が気にならなくなりました。」etc

セッションを続けていくなかで、クライエントがそれまで気づいていなかったり感じられていなかった自分を感じられるようになってくると身体が変わっていることに気づく方がいらっしゃいます。

こうした体験を教えてもらう度に、人間というのは、いくつもの独立した機能が相互作用することで一つの体をなしている生きている存在なんだなと思います。

生きている存在がお互い関わりをもって生きていくこと、そして、違う生き物とも共存していくことは、やはり何かと難しいことも起ってくるのが自然だと思います。

そう思うと、難しいことを無くそうとする他に、難しいことに上手く対応していけるような自分を育てていく方法を選ぶことも、現実的な問題の対処だと改めて思う今日この頃です。

セッション体験談(女性) セッション体験談(男性)

2015年08月04日作成,2015年07月16日一部改訂,2020年02月25日一部改訂

文責 カウンセラー池内秀行


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こんにちは。カウンセラーの池内秀行です。

人それぞれ、いろいろな生き方と価値観、関係性があります。

自分自身の状況や状態、人間関係がどのような状態なのか、それを理解するだけで解決に向けて大きく前進することも沢山あります。

初めての方も安心してお越しいただける環境を心掛けています。

東京・恵比寿での面談セッション、電話セッション、スカイプセッション、Zoomセッションを行っています。

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