被災地へボランティアや救援物資の運搬、会社業務で現地入りしている人達、これから行く計画をもっている人達への情報 2011/04/04UP

*この内容は2011年4月4日ブログにUPしたものに加筆した内容です。

はじめに

こんにちは。カウンセラーの池内秀行です。

2011年3月11日以降のカウンセリングセッションでは、震災に関する内容や、震災の影響とみられる深い感情的なゆらぎ、忘れていた過去の未完了の体験がプロセスとしてあらわれてきている内容が増えています。

また、お子さんの子供がえりの相談などもあります。 

経営者や管理職の方のセッションでも、社内や取引先の関係でギクシャクしたり、正常に機能している部分と震災の影響を受けている部分のギャップの激しさから、何気ない内容から重要な内容の判断まで相当ストレスを感じていたり、業務上でも通常なら問題に発展しないような感情的なテーマが問題になったりしているお話を伺います。

これも、お話をきいていると震災の 心理的な影響です。

先日、「直接被災していない人の災害時の心得」 をUPして、その中で、震災の影響とその対処方法について書きました。

その後、ここ3週間程の、関東と関西の両方でのセッションのケースの内容から、その影響について地域差や、被災地との接点や、関係性のポジションの違いで、受けとめ方や対応も異なることを実感しています。

セッションを受けられた方には、個々のお話をきいて、ケースに応じて現実的なサポートとアドバイスをさせていただいていますが、近いうちに、改めてその内容のポイントを一般化して、セルフケアのサポートになる内容としてHPにアップしようと思っています。 

また一方で、被災地へ、ボランティアとしてサポートに行く計画をもっている人や、救援物資をもって現地入りしている人のお話もきこえてきています。 

仕事の関係以外では、知人の友人がボランティアに行って、現地の惨状を目の当たりにして、毎晩、夢でうなされたり、体調がすぐれなくて日常生活に復帰するのが大変というお話もきこえてきています。

これから、こういうお話も増えてくるのではないかと想像しています。

災害時は、マンパワーが必要です。

行動出来る人達が、現地入りしてサポートすることは、大きな貢献です。

そして、テレビのインタビューなどでも聞こえてきますが、現地入りした人たちが現地で経験したことや、被災した人達との関わりから学ぶことも多く、その経験は、それぞれの個人的経験を豊かにしてくれるもので、人生の財産になり得ます。

しかし、一方で、同時に、現地に入ってサポートする人達も生きた生身の人間なので身体的・感情的に震災の影響を受けて疲弊することもあります。

そこで、様々な立場と目的で被災地にサポートに入る人達の参考になる役立つ情報を提供したいと思います。 

サイコロジカル・ファーストエイド

アメリカ国立PTSDセンターと、アメリカ国立子どもトラウマティックストレス・ネットワークが開発し、兵庫県こころのケアセンターが翻訳して、現在、HP上で無償で提供している災害時の心理的支援のマニュアル「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版」です。

現地入りする人達にとって、実績があるマニュアルとして様々な場面で助けになる内容です。

特に、「付録C.サイコロジカル・ファーストエイドを提供する人のケア」は、ボランティア等で自らの意志で現地にサポートに入る人達が、実際に行くか行かないかを判断する時、そして、帰ってきてからのケアに役立つ項目としても使えます。 

【目次】
謝辞
はじめに
サイコロジカル・ファーストエイドを提供する準備
サイコロジカル・ファーストエイドの8つの活動内容
1.被災者に近づき、活動を始める
2.安全と安心感
3.安定化
4.情報を集める ― いま必要なこと、困っていること
5.現実的な問題の解決を助ける
6.周囲の人々との関わりを促進する
7.対処に役立つ情報
8.紹介と引き継ぎ
付録
A.サイコロジカル・ファーストエイドの概要
B.サイコロジカル・ファーストエイドを提供する現場の環境
C.サイコロジカル・ファーストエイドを提供する人のケア
D.ワークシート
E.被災者のための資料

兵庫県こころのケアセンター
サイコロジカル・ファーストエイドのページ▽
http://www.j-hits.org/psychological/index.html 

被災地していない場所とのつながりが支援となる

一方、被災地に行く行かないに関係なく、ひとりひとりが認識して理解しておく必要がある大切なことがあります。 

それは、被災地の救援や支援、復興の役に立ち貢献するのは、現地に直接サポートに入る人達だけではないということです。 

被災した皆さんが一日でも早く日常を取り戻すこと、被災地の一日も早い復興を願い、真剣に思い考えながら、日常生活でできること、自分の日常をしっかり機能させていくことも、そして、震災の影響を受けている自分をケアしていくことも、同じように救援や支援、復興に貢献することになります。 

それは、被災した皆さん、そして被災地にいる方、外から救済や支援、復興にために現地入りしている人達に物理的に安全な場所とのつながりがあることが、心理的な安心感をもたらすリソース(資源)になるからです。

人とのつながりを感じて孤独ではないことを実感してもらえると、その存在は人をエンパワーするために大切な心理的安全を提供することになります。

被災地以外の安全な場所とのつながりが大きな心理的・現実的な支えとなり、その存在そのものが援助・支援になることを理解しておいてほしいと思います。 

したがって、自分の状況や、日常生活で引き受けている責任の内容によっては、自分の日常生活の足元をしっかり守り、日常をより充実させていくことが、被災者の皆さんや被災地の支援・救援と復興、そして、現地にサポートに入って活動する人達の支援・援助になることを認識して理解することも大切なのです。 

また、会社や仕事の関係で、現地入りする必要がある場合、その人選について配慮することや、現地に入ってからのサポートはもとより、現地から帰ってきてからの心理的ケアについても確立していくことが必要です。

今回の震災の規模になると、会社の場合は管理責任のレベルで、会社や仕事の関係で被災地に入って行く人達が、日常レベルでは受けることのない様々な心理的ストレスと身体的ストレスの影響で機能不全を起こさないように、スケジュール管理やバディー(相棒)システムなど現地での心理的ケアの体制づくり、そして、被災地から帰ってから一律にカウンセリングや休暇など、心理的ケアと身体的なケアの機会を設けることが大切です。

こうした理解と現実的に対応することは、人材を保護し、業務を支援していくためには欠かせません。

さらに、これまでの心理的ケアを土台にしたリーダーシップ能力開発サポートの実績から、震災に関する心理的ケアも大きな視点でみると、リーダーシップ能力を育むサポートとしてとらえることも出来ますので、会社の数年先まで良い影響を与えることが期待できます。 

とはいえ、殆どのことが前例がないことのオンパレードだと思います。 

しかし、その状況の中で、思考錯誤を繰り返しながらでも、早い段階から、その影響を考慮してアクションを起こすことが、半年先、1年先のチームの状況に良い影響を与えることが期待できます。

少なくとも、これまでの災害時に関する様々なケアの積み重ねから、時間の経過とともに起ってくる予測可能なことは存在します。

それを枠組みに動きはじめて、現実に対応しながら自社にマッチしたケアシステムを確立する。それが大切です。 

私が関わらせていただいている個人と会社には、早い段階で、状況に応じた対策とケアの必要性と内容についてアドバイスをさせてもらい、意識をもってくださった方は、出来るところからアクションを起こして、助けになっています。 

「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版」には、一般の有志の方、会社での業務で行かれる方、様々な人達に、それぞれにとって応用できることなど、何かの役に立つ内容が盛り込まれている価値ある情報です。 

是非、手にとって活用してほしい資料の一つです。

兵庫県こころのケアセンター
サイコロジカル・ファーストエイドのページ▽
http://www.j-hits.org/psychological/index.html

2011年04月04日作成,2020年02月25日一部改訂

(文責 プロカウンセラー池内秀行)


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