直接被災していない人の今後の心得2011-04-08UP

はじめに

(注意 この内容は、直接被災していない人達、並びに、関東・東北方面でも、家屋の崩壊等、大きな物理的喪失を経験していない人達を対象にした内容です。大きな物理的喪失を経験している地域の方で現在もその地域に留まっている方や、避難所にいる皆さんについては、コミュニケーションやセルフケアなど一部、参考にしていただける部分はありますが、現地入りして状況を把握している専門家のサポートを直接受けることを推奨します。) 

東日本大震災から、4週間が経過しました。

直後の状況から、被災地は復興のプロセスに移りつつある様子が伝わってきます。 

一方、震災に関するテレビの情報量は、直後に比べると減ってきました。 

そんな状況の変化により、被災地以外の場所では、日常を取り戻しつつあることが伝わってきます。 

東京でも、私が住んでいる周辺では、ようやく卵と納豆、そしてお米が、以前のように手に入るようになってきました。 

そんな中、昨夜、大きな余震があり、改めて、回復にむけて中長期的な視点の大切さを実感しています。 

この4週間で、関東、関西のクライアント、そして海外と北海道や九州方面のクライアントとのセッション、そして、個別の友人との関係の中で、実際に起っていることについて、サポートを提供してきました。 

経営者や管理職の方のセッションでも、社内や取引先の関係で、ギクシャクしたり判断に困ったり、業務上でも通常なら問題に発展しないような感情的なテーマが問題になったり、それもお話をきいていると震災の影響と理解できるものがあります。 

先日、「直接被災していない人の災害時の心得」をUPして、その中で、震災の影響とその対処方法について書きましたが、ここまでのサポートを通して、やはり、地域によって、影響の受け方が違うこと、そして、被災地との接点、関係性の違い、ポジションや役割の違いで、その影響も異なることを実感しています。

そこで、何回かにわけて、今後の日常生活やセルフケア、人間関係について参考になる内容を提供させていただきます。

物理的な復興もメンタルケアも心理的回復も長期的な「プロセス」としての視点が必要です

今回のような災害時においては、目に見える現実面での復興、経済の立て直しと、メンタルケア、喪失体験からの心理的回復、トラウマのケアやPTSDのケアなど、関係する全てのことが、相互に関係する全体としてとらえる視点が必要です。

物理的な安全と心理的な安全

私たちが、様々なことにチャンレンジしたり、人生を楽しんだり、変化を受け入れたり、実りのある人間関係を育み、喜怒哀楽を大切にしながら日常を生きていくためには、衣食住がそろっていることの他に、「物理的な安全」と「心理的な安全」が必要とされています。 

「物理的な安全」は、生命の安全を脅かさない物理的な安全が確保されていることです。 

「心理的な安全」は、プライバシーと人間としての尊厳が尊重され、自分の考えや気持ちを表現しても、自分の体験そのものを全面否定されたり、人間関係や社会的関係の中で、孤立したり、切り捨てられたり、見捨てられないという心理的な安全が確保されていることです。 

この両方が確保されている実感があると、さらに自分にとって快適な衣食住を探求したり、自分の考えや価値観にもとづいてやりたいことを探求したり、それにそったライフスタイルや人間関係を広げていくためのモチベーションが自然と湧きあがってくるようになります。 

今回の震災、特に甚大な被害を受けた地域は、一瞬のうちに、何の前触れもなく、「物理的な安全」と「心理的な安全」が一瞬のうちに奪われてしまいました。 

そのため、救援や復興に向けての活動は、全て、喪失した物理的な安全と心理的な安全を回復することを伴う活動になります。 

衣食住に関する支援と、救援活動のために現地に入り、被災した人達と関わることは、喪失した物理的な安全と心理的な安全を回復していくプロセスもともなっています。 

物理的な安全と心理的な安全の回復を念頭におくと、出来るだけ、失う前の状態にそった状態に回復していくことがポイントになります。 

人間は自分が出来ると思っていることをすることで、「自分で出来る、やれる」というパワーを実感することができ、喪失体験や混乱した状態の中でも、自分自身の存在を確認することができます。

その体験が、自分を取り戻していくプロセスにもなります。

危機的状況でサポートを受けながら、時間の経過とともに、物理的な安全と心理的な安全を自らの力で確保・維持して、日常生活を取り戻していく活動の中で、ダメージを受けた「自分でやっていける」という自尊心が回復していきます。 

さらに、困難な状況から回復する経験は、新たな自尊心を育んでいきます。 

復興に関係する全ての直接的・間接的な活動は、被災地と被災者のみならず、震災の影響で、物理的な安全と心理的な安全が脅かされて生命の不安や先行き将来の不安を感じている人達、自尊心や信頼感に関してダメージを受けた全ての人達が、支援活動や日常生活の中で不安と上手に付き合えるようになったり、ダメージを受けた自尊心や信頼感が回復したり高まっていく活動を心がけることが大切です(エンパワーメント)。 

復興とこころのケアと心理的回復は、全ての一日一日の現実的活動を通しての日常の積み重ねによって築かれていく全体性を回復する「プロセス」なのです。 

その時間は、月単位、年単位の、中長期的なプロセスとして、今後も続いていくことを理解し、受けとめる必要があります。 

それは、直接被災していない人達についても同じことがいえます。

例えば、仕事関係であれば、直接被災していないくても、取引先が被災したことで、担当者がそのストレスで機能不全に陥ったり、もえつきの兆候があらわれてきたりします。

会社の一部もしくは全体が機能不全に陥って、そこからはじまる会社機能と事業の立て直しのプロセスは、経営者を含め会社関係者全ての人の心理的回復のプロセスを伴うものになります。

心理的には、今までの機能していたものを失うという、喪失体験をともなっているからです。 

また家族関係や友人関係でも同じことがいえます。

亡くなられた方がいらっしっやる方はもちろん、怪我をしたり病気になった人がいらっしゃれば、それは健康を失うという喪失体験でもあります。 

震災の影響で、様々なレベルで状況が変化して、その変化に対応していくことは、変化へのストレス反応が出てきます。

その変化も、今までの状況を失うという喪失体験でもあるので、変化へのストレスは心理的には、喪失体験からの回復のプロセスもともないます。

大切なことは現時点で機能していることを機能させていくこと

被災地や被災者を援助するために、直接の災害当事者ではなく被災地以外にいる人達にとって大切なことは、災害から不必要な影響を受けないように状況の違いを意識的に区別して、自分たちの機能している日常をしっかり維持することです。

そうすることに負い目や罪悪感を感じる必要は全くありません。 

しかし、被災地の情報に触れたり、避難所で生活している人達のことを思うと、自分が安全な場所にいて、普通に生活していることに違和感や後ろめたさを感じる人もいらっしゃると思います。 

そういう思いがあると、自分が楽しんだり、遊んだり、美味しものを食べたり、ゆっくり休むことなど、今まで当たり前のようにしていたことにも、後ろめたさを感じてしまうこともあると思います。 

こうした反応は、人間として自然な反応です。 

それは、相手の立場に立って相手を理解する能力や、人間として他者の痛みを感じる能力がある証だからです。 

そういう気持ちを感じていることをわかりながら、自分と他者の置かれている状況を区別して、自分の置かれている状況から、他者が置かれている状況に向けて、自分に何が出来るのかを考えることが大切なのです。 

その意味でも、健全に機能している日常を維持することが大切です。 

人間は、自分が持っているものしか、他者に提供することはできません。

無いものはあげられないのです。 

また、他者の苦しみをその人に変わって肩代わりして、他者を苦しみから解放してあげたい気持ちが湧き起こってきても、現実的には自ら肩代わりして、苦しんでいる人を苦しみから解放してあげることはできません。 

他者ができるのは、その人が自ら苦しみと距離をとり、その苦しみと対峙して、自ら苦しみを手放し、その影響を受けなくなるプロセスをサポートすることです。

現実的なサポートもそのプロセスの手助けなのです。 

もし、大切なものを失った人達や地域に、自分にあるものや出来ることを提供し、回復のプロセスのサポートを提供したいと思えば、自分に何があるのか、自分は何をすることができるのか、それがわかっているほど、効果的なサポートを提供することができるようになります。 

自分にないものを提供したいと思えば、自分がそれを手に入れて提供するか、持っている人をみつけて提供してもらえるように協力を頼むことによって提供することになります。 

そのためにも、健全に機能している日常を維持し、自分には何があるかを確認し、自分がもっていないものを持っている人との関係があれば、その関係を大切にすることで、自分が提供したいものを提供したり、相手を迎え入れることができます。 

4週間が過ぎてくると、被災地だけではなく、日本と世界の人々、様々な関係性、日本経済や世界経済に与えている影響も少しずつみえてきはじめています。 

それは、必ずしもネガティブなものだけではなく、ポジティブなものもあります。

両方あるのです。  

現実に即した事実と情報が増えてくると、身近な日常生活の営みと経済活動の活性化も復興支援になることが、頭の理解だけではなく、実感としてわかってくるようになってくると思います。 

健全に機能している場と、被災地を区別することで、その温度差が明確になればなるほど、提供できるものがより明確になっていきます。 

健全に機能しているからこそ、被災地に必要な物資や人材、エネルギー、経済活動など、全てのものを継続的に供給することが出来る、それが現実です。 

そのためには、被災地の機能回復だけではなく、そのプロセスの中で、日本全体のシステムを活性化していく視点も重要です。 

そのために出来ることの一つとして、一人一人が身近な日常生活を活性化させていく意識をもち実践していくことが必要です。 

笑顔の挨拶、部屋の掃除、電気の節約、今している仕事をより充実させることなど、復興支援に直接ながっているとは実感できないようなことでも、今すぐに自分が出来ることを意識的に実践していくことが日本全体のシステムを活性化していく土台になっていくと思います。 

そのためにも、大切なのが、身近な人間関係や仕事、自分自身のケアをしていく視点をもつことです。

2011年04月08日作成,2020年02月25日一部改訂

(文責 プロカウンセラー池内秀行)


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