夫婦関係・恋愛関係を良い関係にしていくために大切なこと

夫婦関係・恋愛関係を良い関係にしていくために大切なこと

いろいろあるパートナーシップのスタイル

お互いこの人でよかったと思える恋愛・夫婦関係に必要なものは、

「パートナーシップ(協力関係)」と「親密さ(お互いを結ぶ強いつながり)」です

お互い一緒に楽しんだり、一緒に生きていくためのパートナーシップのスタイルは、いろいろあります

日本では、男女の関係の場合、一緒に生きていくためのスタイルとして、法律上の結婚を選ぶ人たちが主流ですが、

なかには選ばない人たちもいます

「恋愛関係」・「夫婦関係」については、いろいろな考え方や価値観があります

「恋愛関係」と「夫婦関係」は、その目的が異なるので、関係性も異なり、

お互い相手に対する責任も異なるところがあります

お互い協力して、どんなことを大切にして、どんな生活をして、どんなことを実現していくのか、

パートナーシップの内容も、それぞれカップルによって異なります

なかには、「恋愛関係」・「夫婦関係」と言っても、実態はパートナーシップが成立していないカップル、親密さがないカップルも存在します

秘訣。それは「お互い相手に健全に依存できる」こと

パートナーシップ(協働関係)の本質は、お互い相手に健全に依存できる関係性です

お互い健全に依存できるパートナーシップがある関係では、

日常的な協力関係を積み重ねていく体験の中で、現実的にも情緒的にも安心・安全を感じられる体験も積み重なっていき、

二人の間に強いつながり(深い信頼関係)が育まれていきます

お互いのこうした強いつながりを「親密さ」といい、親密さがある関係を「親密な関係」と言います

よくある恋愛・夫婦関係の悩みや問題は、パートナーシップか親密さ、または、その両方に関係するものです

パートナーシップと親密さを求める相手との関係では、

お互いの関わりのなかで、双方が相手に対して、現実的な助け合いや情緒的な関わりを求めるのは自然なことです

そして、それが満たされることで相手とのつながりや安心・安全であることを繰り返し実感していきたいという必要性(ニーズ)があります

この必要性(ニーズ)は、大人同士の関係におけるアタッチメント(愛着)と言い、

進化論的に人間が生物として生き残っていくために生まれながらに受け継いできたものという理解もあります

大切なことは、年齢や状況、関係性など、時と場所によって、社会的・文化的にその必要性(ニーズ)の満たし方に違いがあり、その違いによって、価値判断の基準も異なるということを理解しておくことです

恋愛・夫婦関係の悩みや問題は、必要性(ニーズ)そのものが問題なのではなく、

価値判断基準の違いによる満たし方の衝突が悩みや問題をつくりだしていることがよくあります

したがって、お互いの違いを踏まえて、その必要性(ニーズ)を満たしていくには、

現実面についても、精神面についても、お互いが自分と相手、そして二人の関係のために、

お互い頼り合い、協力し合い、助け合うことが必要です

そのために、お互い相手に対し、協力的な姿勢や言動を実践していくことも必要になります(お互い相手に健全に依存できる関係性)

最初から親密な関係性は存在しない

相互に健全に依存できる親密な関係性は、最初からあるものではなく、

お互いの日常的な関わりの積み重ねの中で育まれていくものです

その積み重ねの中では、出会うまでの間に、別々の価値観や環境の中で生活して身につけたものがあるので、

当然、価値観の違いなど食い違うことがあるのは自然なことです

「相手との間に親密さや繋がりを感じられない」、「安心感を感じられない」、「安全を脅かされる(暴力や病気の症状は除く)」という悩み・問題が必ずどこかで出てくるのものです

それは、好きだから嫌いだからとか、愛がある愛がないということではなく、人として自然なことです

うまくいかないパターン

パートナーシップがうまくいかない、親密さを感じられないという悩みや問題について、

二人でうまく解決できない時は、次のような状況になっていることがあります

  • 相手がすることを過度にコントロールしようとしたり、過度に親密さを求めて過干渉になってしまう
  • 相手に常に承認されていないと不安で、相手に過度な応答を求めてしまう
  • 相手に自分と違うニーズや願望があると、それに不安を感じて不安定になり、心配性になったり、過干渉になってしまう
  • 相手に近づきたいけど、「相手に傷つけられるかもしれない」、「自分が相手を傷つけてしまうかもしれない」という不安を感じて一方的に距離をとってしまう
  • 何か葛藤があると、相手を信頼したり、頼ったりすることが難しくなり、いつも気を使ったり、気が張り詰めて緊張している
  • 相手はオープンなのに自分の方から健全に依存するのが難しく、常にどこかに不安がつきまとい、必要以上に気を遣いすぎてしまい、常に疲れている
  • 相手との関係で安心を得るより、自立していることや自分が満たされていることを優先させる傾向が強く、自分が相手に依存することを甘えと思って自分に厳しくしたり、相手が依存してくることが甘えとして我慢できず相手に厳しくなる
  • 相手に対する感情のコントロールの方法として、感情を抑え隠すという方法をとる傾向が強くなり、関わることを一方的に拒絶することがある

二人の関係に、上記のような傾向があり、それがパターン化していると、

それぞれ相手がパートナーシップや親密さを必要としている時に、距離感や寂しさを感じて、

相手に拒絶されたという体験をし続けて、お互い健全に依存するのがどんどん難しくなっていきます

うまくいなかいパターンに共通する根本的な問題

うまくいかないパターンに共通する根本的な問題があります

それは、お互い「安心」と「安全」の基準が異なることです

例えていうと、異文化交流における文化の違いです

相手に良かれと思っていることが逆効果となり、相手の「安心」と「安全」を脅かしていることがあります

二人で仲良く生活していても、生活のなかでは、現実的に対処する必要があることは出てきますし、

悩みや問題も大なり小なり出てくるのが日常生活です

また、今の時代、外側から問題がやってきて巻き込まれてしまうこともよくあることです

こうした対処する必要のあることや問題が生じた時に、いつも二人の間でネガティブな状態や、否定的で一方的な結論にしかならないという時、そこには、二人の間で、相手が必要としている「安心」と「安全」に関する文化の違いが存在することがよくあります

大切なのは「情緒的な結びつき」

悩み・問題のバリエーションは、一人一人似ているところもありますが、

それぞれが経験している主観的な気持ちや感情が異なるものです

したがって、「安心感」・「安全の感覚」についてもお互い感じ方が同じ時もあれば違う時もあります

そこで大切になるのが情緒的な結びつきです

お互い情緒的な結びつきがある関係では、

悩み・問題が出てきてネガティブになっても、

お互いの関わりの中で、ネガティブな感情的はポジティブな感情に変えていくことができます

それにともない、身体的なストレス反応による緊張も緩んでいき、逃げたり、闘う必要がなくなると、

自ずと建設的な方向にむかっていきます(健康的な関係・機能している関係)

特に大切なのは「関係性の質」

お互い情緒的な結びつきを感じられる、安心・安全なつながりを感じられるという「親密な関係性」は、

楽しいとか、仲が良いというレベル以上のものです

お互い協力して何かをしていく経験が積み重なっていくと、

楽しい・仲良しという関係のレベルから、お互い安心・安全を得られる関係のレベルに育ち、

関係性の質そのものが変わっていきます

パートナーシップと親密さが安定しているとき

パートナーシップと親密さがおおむね安定していると、ストレス耐性の礎になったり、

日常の困りごとや問題、人生の悩みや困難に対処していくエネルギーの源になります(リソース)

また、現実的に、お互いの必要性(ニーズ)を満たし、大事にしていること、大事にしていきたいことを実現していくために、お互い協力していく関わりは、お互い人間として成長していく糧になります

二人の関係は、うまくいってるのかな?

次のようなことが相手との関わりで体験できていれば、「安心・安全」の土台が育まれているサインです

  • 一緒にいてお互い心地よく感じられる
  • 相手を頼っても大丈夫だと思える
  • 相手にサポートを求めることも、相手にサポートを求められたら引き受けることも、両方とも必要以上に気を遣わずにできている
  • 自分にとって嫌な事や難しいことについて、相手に愚痴をこぼすことができる。また、愚痴をこぼしながら相手に協力やサポートを求めることができる。相手は、それを慰めてくれたり、優しい態度で受けとめてくれる
  • 相手の言動に傷つくことがあっても柔軟に受けとめて、相手に悪意があるとは考えず、抑制のきいたやり方で怒りを表現して、前向きな姿勢で問題を解決して仲直りをすることができる
  • それぞれ、相手との関わりで自己肯定感、自己効力感を感じられる
  • 自分と相手、お互いの弱さや弱点を肯定的に受け入れることが容易にできる。それを受け入れた上で、前向きな姿勢で生活できている
  • 好奇心があり、新しい情報も受け入れる柔軟性があり、それを相手と安心して分かちあえる
  • 安心して相手に依存できるし、相手の依存も受け入れられる健康的な感覚がある

情緒的な結びつきが途絶えていくと・・・

しかし、ちょっとしたことや、日常生活の様々なことが原因で、お互いまたは一方のみが情緒的な結びつきを感じられなくなることもよくあります

その状態になっているにもかかわらず、「自分が我慢すればよい」、「相手の責任だから私は悪くない」、「時間が解決するからほっておこう」といった様々な理由で対処せずにいると、

相手だけではなく、自分自身もその相手の関わりや姿勢、態度、言動に不安を感じるようになっていきます

そこから疑いが出てくるようになり、相手に不信感を募らせて頼れなくなっていきます

その状態に対処せずに過ごし、時間が経てばたつほど、二人の心理的な距離が離れていき、

会話と関わりにネガティブなものが増えていったり、殆ど会話のない状態になっていきます

それでも、対処せずにその状態を「放置」していると、その状態そのものが、金属疲労のように二人の関係性を蝕み、

さらに悪化させていきます

一方では、その影響で別の現実的な問題が増えていったり、お互い傷つけあって、それぞれ疲弊していきます

それがお互いにとってのトラウマ体験になってしまうこともよくあります

また、セクシャルな面では、女性側、男性側、それぞれニーズがなくなり、セックスレスの問題や男性の場合はインポテンツ(ED)の原因になっていることもよくあります

二人の関係は、大丈夫なのだろうか?

次のような関わりがあると、二人のパートナーシップと親密さに問題があるかもしれません

  • 一緒にいると緊張の度合いが高く、冗談も言えず、とげとげしい関わりが日常化している
  • 相手を頼ったり、サポートを求めることができず、全て自分一人でやっている感じがして、相手に敵意を感じることもある
  • お互い敵意に満ちた態度や軽蔑的な態度で接することが多く、何か相談すると批判されたり攻撃されて傷つくことが多い
  • パートナーに不安や心配事を伝えても同情したり共感してくれることなく、悩みや困っていることを軽くみられて態度も冷たい
  • それぞれ、相手との関係で自己肯定感、自己効力感を感じられず、自分はダメなんだとか自分が悪いと感じることが多い
  • 自分の弱さや弱点を相手にみせると、からかわれたり、バカにされたり、批判される
  • 現状の自分に不満を感じることが多く、生きづらさを感じながら生活している
  • いつも何かを我慢していて、頑張っていても報われている感じがしないことが多い
  • どんな良いことも、パートナーとの関係では最後に嫌な思いをして終わる(機能不全)

努力しているのにうまくいかない背景にあるもの

パートナーシップと親密さを育みたいと思って、いろいろ考えたり話し合ったりしながら、一生懸命、頑張っているのにうまくいかない

自分で考えたり思っている事と、自分の言動が違ってしまい、自己嫌悪に陥ったり、自信がなくなっていく

どうして思いどおりにいかないのか、できないのか?

その背景には、様々な根本的な課題があったり、問題が隠れている可能性があります

努力してもうまくいかない根本的な課題や問題には主に次のようなものがあります

ここに紹介するものは、特別な問題や課題ではなく、誰もが抱えうるものです

  • 慢性的な疲れや、燃え尽き(バーンアウト)
  • 共感力不足・コミュニケーションスキル不足・リソース不足
  • 思慮不足・硬直した考え方
  • 他人ごと主義・無関心
  • 理想と現実の落差に無自覚
  • 理性の働きをジャックする生物としての攻撃性と暴力性、トラウマ反応
  • 自他を区別する境界(バウンダリー)の混乱
  • 無力感・植え付けられた罪悪感や恥ずかしさ(トラウマ)
  • 現在の相手に関係ない過去の喪失体験、トラウマ体験、PTSD
  • 「時間が解決する」・「相手がやるだろう」という思い込み
  • 選べない、選びたくない選択肢しかないモヤモヤや葛藤(変化への恐れ)
  • 暴力的な関係・アディクション(依存症)・不倫関係などの問題

上記以外にもいろいろありますが、根本的な問題が何かあることに気づいていたり、

わかっていも、何もせず、それを放っておくだけでは、問題と痛みは慢性化していきます

また、努力をしていても、何も変わらず、それでも同じことを続けていくと燃え尽きてしまい、うつ病など病気になることもあります

最後に

こうしたことに気づいていたら、二人で話し合って解決するのが難しいことは、カウンセリングを受けることで、解決に向かっていくことができます

文責 プロカウンセラー池内秀行

2020年03月30日作成,2020年07月29日改訂,2020年07月31日一部修正,2024年03月05日一部改訂,2024年03月20日一部修正


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Wrote this article この記事を書いた人

プロカウンセラー池内秀行

個人やカップル、家族や友人同士での心理カウンセリング・セラピーを提供しています。個人の生活や人間関係や家族関係、恋愛・夫婦関係などカップルの関係性の改善、仕事の悩みや問題の解決、感情的な悩み、自分自身のこと、ストレスによる身体症状、生きづらさ、トラウマの癒しなど、日頃のちょっとしたことから深刻なことまで、ご相談内容に応じたオーダーメイドのカウンセリングを提供しています。初めての方も安心してお越しいただける環境を心掛けています。お気軽にご連絡ください。

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