震災後の気持ちと感情のケア-自分の軸と日常を取り戻すためにできること-2011/04/11UP

目次

はじめに

(注意 この内容は、直接被災していない人達、並びに、関東・東北方面でも、家屋の崩壊等、大きな物理的喪失を経験していない人達を対象にした内容です。大きな物理的喪失を経験している地域の方で現在もその地域に留まっている方や、避難所にいる皆さんについては、コミュニケーションやセルフケアなど一部、参考にしていただける部分はありますが、現地入りして状況を把握している専門家のサポートを直接受けることを推奨します。)

大切なのは「どのような感情もOKであるということ」

今回の東日本大震災の体験は、被災地以外の多くの人達も、直ぐに現実を受け入れることは難しく(リアリティがなく実感できない)、ショックで混乱したままの状態だったり、不安感など様々な感情を感じ続けている方も多いと思います。

メディアでは、これまで映し出されていなかった新しい被災地の映像や写真が報道され、その酷い状況をみるたび、現地に足を運んでいなくても、今も異常事態が続いていることが伝わってきます。

3月11日直後は、関東圏以外の地域の人達、海外在住の邦人も大きな恐怖と不安を感じて眠れない体験をしている人の他、逆に、実感をもてず、自分は心理的に影響を受けていないと思っていた人もいたと思います。そういう人も、日々の情報や実際の被災関係者の話をきく機会などを通して、実際は不安や恐怖を感じていたことに気づく人もいらっしゃれば、感情的な体験よりも身体の不調を通して感じている人達もいらっしゃいます。

誤解を怖れず言うと、地球上のどこにいたとしても、ごく一部の例外の人がいらっしゃっるかもしれませんが、今回の東日本大震災で不安や怖れなどを感じていない人はいないのではないでしょうか。

それぞれの人達が、不安や怖れだけではなく、表現しきれない様々な感情を感じ、身体は緊張していると思います。

こういう時、大切なのは、「どんな感情も感じてOK」という理解です。

大切なことは「自分も感じている自覚」

自分も感じている自覚

「どんな感情も感じてOK」を理解するために大切なことは、震災という事実によって受けたショックによって、自分自身も、不安や怖れ、そして表現しきれない様々な感情を感じていることを自覚することです。

もし、実感として感じれていなくても、自分もどこかで感じていてストレスになっているかもしれないと、自分で自分に対して確認してあげることです。

自覚するには呼吸と身体感覚が助けになる

自分が感じていることを実感したり、自覚できない時に、それを自覚するために助けになるのは、自分の呼吸と身体感覚です。 

目を閉じて、自分の呼吸に意識を向けてみましょう。

呼吸のための身体の動きとともに、自分の口と鼻から、身体の中に空気が入ってきて、横隔膜の動きとともに胸とお腹が膨れて、それとともに肩など身体全体が動いて、息を吐くと、胸とお腹がしぼみ、それとともに肩など身体全体が動いているのを感じてみましょう。 

そして、呼吸に意識を向けながら、喉や胸、お腹のあたり、身体全体に意識を向けていくと、今、自分が感じていることがわかってくることがあります。 

自分の感覚や感情に気づいたら、こういう感覚・感情を感じているんだ、と確認していきます。

自分が考えていることに気づいたらこんなことを考えているんだ、と確認していきます。

身体の凝りや痛みを感じたらここが凝っているんだ痛んだと確認して、ただ気づいてあげてみてください。 

この作業をすると、ストレスから距離をとることが出来るようになり、こころを落ち着かせる効果があります。 

もし、何も感じなければ、それはそれでOKです。

感じていないことをわかりながら、感じていないことを感じている自分に気づいてあげてください。 

この作業は3分くらいを目安に、一区切りしてください。 

終わる時には、自分の身体は今こんな感じなんだと自分で確認して終了してください。

終了後は、個人差はありますが、はじめる前よりも身体がゆったりして、心も落ち着いていると思います。 

わかってくれそうな相手に体験していることを話す 

自分の感情に圧倒されたり、思うように落ち着けない時に助けになるのは、自分が体験していることをわかってくれる人に話をきいてもらうことです。 

あなたの体験を批判したり評価したり分析するのではなく、尊重してくれる人との間では、言葉にならない場合でも、一緒にいてもらうだけでも助けになります。 

あなたの体験を尊重してくれる人にきいてもらったり、一緒にいてもらうことは、人とのつながりを感じる体験となり、心理的な安全を感じることができます。

一人で孤独を感じている時よりも、心身の緊張がほぐれて軽くなり、前向きな感情も感じられるようになります。

相手の話しをきく時も大切「自分の感覚への気づき」 

相手の体験や気持ちをきく時も、自分も不安や怖れ、表現しきれない様々な感情を感じていることを自覚できることが大切です。 

自分の感情への気づきや自覚、感じていなくても感じているかもしれないという自分への配慮があると、相手の話しをきくなかで、突然、自分の中で大きな感情が湧き起こってきた時に、対処しやすくなるからです。 

自分の感情への気づきがないと、相手の言葉にならない感情を「あなたは不安を感じているんだよ」など、一方的に決めつける表現になったり、「不安を感じているのはあなただけじゃないから」など、相手を傷つけるつもりや拒絶するつもりはないのに、そう誤解されるリスクのある表現になってしまうことがあります。 

人間だれしも、いつも安定しているわけではないので、誰もが前記のような表現をしてしまうことがあります。

そういう時は、それに気づいたら、すぐに訂正してリカバリーすればOKです。 

例えば次のような訂正リカバリーのしかたがあります。 

一方的に決めつけるような言い方をしていることに気づいた時

「ごめんなさい。一方的に決めつけるような言い方をして。私が同じような状況だったら不安を感じるから、ついそう思ってしまったの。違っていたらごめんなさい。実際はどんな気持ちなの」など、自分の言い方を謝り、自分の体験していることを伝えて、改めて相手の体験をきくことがポイントです。 

相手が拒絶されていると受け取ってしまうような表現に気づいた時

「ごめんなさい。拒絶するような言い方をして。話をきいていて、私も同じような不安を感じていることに今気づけた。そんな状況なら不安を感じるのは人間として自然なことだよね。私もそう感じる。」など、自分の言い方を謝り、自分の体験を話して、「みんな」という一般化した状態を「私とあなた」という1対1の関係に置き換えて相手と向き合い共感するのがポイントです。 

相手に話をきいてもらう時に大切なこと 

誰かに自分の体験や感じていることをきいてもらいたいと思う時、どうしたらいいのかわからに人もいると思います。 

そういう時は、自分から相手に「話をきいてもらいたいんだけど、時間つくってもらうことは出来ますか」など、話しをきいてもらう状況を設定することをお勧めします。

もう一歩すすんで言葉にできる人は、「気持ちの整理がしたい」「不安だからきいて欲しい」など目的も伝えられるといいと思います。 

そして、30分なら30分、1時間なら1時間、きいてもらう時間も設定しましょう。 

設定した時間では足りない場合、決めた時間で一区切りにして、相手が続けてきいてくれる場合でも、最低10分くらいは休憩時間をとって、その後、再度、きいてもらう時間を決めて話しましょう。 

もし、続けてきく時間が相手にない場合は、きいてくれる時間をとってもらったこと、きいてきれたことにお礼を言って、次の約束をしたり、別の人に同じように状況を設定して時間を決めて、きいてもらいましょう。 

知的な会話とは異なり、気持ちや感情的な体験を主とした会話は、話す方も聞く方も、色々な感情が動くので、それを受けとめながら会話するには思っている以上にエネルギーを使うからです。 

エネルギーが減ってくると疲れてきて、ききたいと思っていても、きけなくなるのも人間として自然なことです。 

状況設定と時間を決めること、休憩を入れることは、途中できけなくなって、お互いのノンバーバルなメッセージを受け取って、様々な誤解が生じることを予防するスキルです。 

言葉にならない感情は無理に言語化しなくてもよい 

わかってくれそうな相手に体験したことや気持ちを話すことで、心の緊張がほぐれて心身ともに軽くなっていきます。 

しかし、時に言葉にならない感情も出てくることがあります。 

その場合は、言葉にならない感情を無理に言語化しようとすると、言語化するプロセスそのものが大きなストレスになります。 

言葉にならない感情がある時は「感じていることはあるけど、今は言葉にならないんだね。それがわかったよ。」など、感じている体験そのもを肯定して受けとめることが、相手の助けになります。 

感情を言葉で表現できるようになるには時間が必要なことは、災害のような緊急状態の時はもちろん、そうではない日常生活でもよくあることです。 

その時間も大切にしましょう。 

感情には大切な役割があります

感情には大切な役割があります。 

感情は、自分がおかれている状況や、認識した状況、起った出来事が、自分にとってどんな意味を持つのかを教えてくれる大切なサインです。 

今回の震災で付き合い方を知っておくと助けになる「悲しみ」「怒り」「不安」の3つの感情について説明します。 

悲しみが教えてくれること

悲しみは、自分にとって大切なものをなくしたことを教えてくれる感情です。 

また、なくしたものが大切なものであったことを教えてくれる感情でもあります。

喪失の体験は、本人に様々な変化をもたらします。 

そのため、悲しみの感情は、喪失にともなう変化のはじまりを教えてくれるとともに、その変化のプロセスに適応していくために、自分の態勢を整えたり立て直すための時間と、自分を労わる時間を意識的にとる必要性を教えてくれる感情でもあります。 

喪失の対象は色々なものがあります。

例えば、
人間関係の喪失
自尊心や健康状態など自分自身に関する喪失
物や財産、権利の喪失
物理的安全や心理的安全など安心感の喪失
いつも日常生活の喪失
仕事関係や所属していたグループ、社会的地位など社会的関係の喪失

被災地で直接被災された方々の大半は、これらの全てを同時に失う経験をされている人達が沢山いらっしゃいます。

それは異常事態以外のなにものでもありません。 

その現実を周囲の人達もしっかり受けとめていく必要があります。

被災地以外の直接被災していない人達のなかでも、いずれかの喪失体験をされている人達も沢山いらっしゃいます。 

喪失の体験をしたら、悲しみを感じるのは人間の自然な反応であることを確認しておきたいと思います。 

3つの悲嘆(グリーフ)のプロセスモデル 

喪失体験からの回復にも心理的プロセスがあります。 

しかし、人の人生はそれぞれ異なっています。

したがって、喪失体験も、その回復のプロセスも個人的なものです。

私の臨床経験から思うのは、実際は現実的な状況の影響もあるので、モデルのように進むわけではないというのが実感です。

それでも、モデルの存在は、自分や他者に何が起っているのかを理解する助けになります。 

そこで、参考に3つのモデルを引用して紹介したいと思います。 

悲嘆の5段階<エリザベス・キューブラー・ロス「永遠の別れ」(日本教文社)>

1否認
2怒り
3取引
4抑うつ
5受容

悲嘆のプロセス(心理社会的経過)<小西聖子・白井明美「「悲しみ」の後遺症をケアする」(角川学芸出版)>

1心の麻痺の段階
2切望の段階
3混乱と絶望の段階
4回復の段階

グリーフが癒される10の段階<グレンジャー・E・ウェストバーク「すばらしい悲しみ」(地引網出版)>

第1段階ショック状態に陥る
第2段階感情を表現する
第3段階憂うつになり孤独を感じる
第4段階悲しみが身体的な症状として表れる
第5段階パニックに陥る
第6段階喪失に罪責感を抱く
第7段階怒りと恨みでいっぱいになる
第8段階元の生活に戻ることを拒否する
第9段階徐々に希望が湧いてくる
第10段階現実を受け入れられるようになる

悲しみを感じることは大切 

喪失体験にともなう悲しみの体験を「悲嘆(グリーフ)」といいます。 

そして悲嘆が癒されるプロセスの中で大切なのは悲しみに向き合うことです。

向き合う中では、泣くこと、悲しむこと、落ち込むこと、怒りを感じることなど、様々な感情を感じます。 

それは、人間として自然なことなのです。 

悲しみと付き合っていくには、様々な感情が湧き起こっていくるのは、人間として自然な反応であることを、自分のためにも他者のためにも理解することです。 

現段階での、震災の影響による様々な体験や感情を、わかってもらえる人に話すことで、心の緊張がほぐれ心身ともに軽くなれる体験を繰り返すことは、喪失体験をしている人達にとっては、悲嘆(グリーフ)のプロセスの助けにもなります。 

感じることに良し悪しはありません。

悲しみを感じても大丈夫。

不安を感じても大丈夫。

怒りを感じても大丈夫。

ひどく落ち込んでも大丈夫。

泣くのは悪いことではありません 。

だって生きている人間なんですから、自然なことです。

怒りが教えてくれるもの

*この内容は2011年4月11日にUPした「震災後の気持ちと感情のケア-自分の軸と日常を取り戻すためにできること-」の続きです。

怒りは、自分や自分の大切な人の身の危険、不利なこと、大切なものを失うおそれなどを教えてくれる感情です。

怒りに対する誤解

しかし、怒りは、一般的に、次のように誤解されています。 

「怒りはよくない感情である」
「怒りを感じるのは人間的に欠陥がある」
「怒りを表現するのは大人として恥ずかしいので抑制しなければならない」
「怒りは人間関係を破壊する」

この誤解が生じる理由は、怒りの役割や怒りとの関わり方を教えてもらっていない人が多いからです。 

喪失体験をともなう怒りの機能 

特に、今回のような大きな喪失体験をすると、心にぽっかりと大きな穴があいたような状態になります。 

こころの穴が大きければ大きいほど、すぐに穴があいたことを感じることは難しくなります。 

それは、こころの穴を実感すると、不安、苦しみ、悲しみなど一人では耐えきれない様々な感情を感じることになるからです。 

こころに穴があいていることを実感できるようになるためには、通常、日常生活が落ち着いてきて出来事を事実として客観的に認識できるようになり、物理的安全と心理的安全が確保されていることを感じられるようになってからです。

そして、物理的安全と心理的安全を感じることが出来る場所や人間関係の中で可能となります。 

それまでは、こころにあいた穴を感じそうになると、一時的にその穴をうめる作業を繰り返します。

この作業は無自覚になされることが殆どです。

また、他者から無理やり自覚させられるような関わり方をされた時も、この作業は行われます。 

その穴埋めのための作業に使われる感情が怒りです。 

怒りは瞬時にうまれる感情なので、すぐに穴をうめてくれ、気分は悪くても、一時的にエネルギーの充足感をもたらしてくれます。

その上、自覚を促す出来事や他者を一時的に遠ざけます。

しかし、本人はもちろん、周囲の人も、こころの穴を埋めるための怒りとわかっていないと、誤解が生じ、人間関係を悪化させることもよくあります。 

自分の感情に責任をもつという視点では、ここでは「怒り」に責任をもつというより、怒りの根っこに何があるかを自覚して、それに自分で対処・対応していくことが、自分の感情に責任を持つということになります。

ここでの対処・対応には、自覚するための作業でも、自覚後の作業でも、他者のサポートを求めることも含まれます。

怒りの対処は、実際、一人で作業すると、自分を責めて罪悪感に圧倒されてしまうことが多く、その根っこを自覚するのはとても困難だからです。 

悲しみや落ち込みを感じることは健康的 

こころにぽっかり穴があいていることに気づけると、悲しみを感じることができるようになります。 

そして、日常生活の中で、何度も何度も喪失したものについて思い出しては悲しみ、怒りや罪悪感など様々な感情を感じていくプロセスが弔いの作業になります。 

繰り返して感じていく体験の中で、いつしか自分の中で弔いが終わると、喪失した体験を手放せるようになり、新しいエネルギーが湧きあがってくるようになっていきます。それが現実を受け入れて前に歩んでいくエネルギーになっていきます。 

悲しみや落ち込み、怒り、罪悪感などを感じることは、弔いのプロセスとして健康的で自然な感情的体験なのです。 

今回の弔いのプロセスは長い時間をかけることが大切 

これまでの臨床で、個人レベルで大切な人との死別や生き別れなどの弔いのプロセスでもケースによれば数年単位の時間を要するものが殆どです。 

したがって、今回のような自然災害による大きな喪失体験の弔いのプロセスは、何十年単位の時間が必要な体験もあると思われます。 

弔いのプロセスを結果的に阻むもの 

特に、これまでの臨床経験から、思想や哲学、ポジティブシンキング、スピリチュアルな癒しや自己啓発、信仰上のサポートなどの影響により、起った出来事について知的理解をして自分を納得させることで感情を置き去りにした意味付けをしたり、周囲の人を心配させたくないという気持ちから悲しむことを自分に許さないなど、様々な感情体験への対処が、結果的に感じることを必要とする弔いのプロセスを阻んでいることが多々ありました。 

プロセスが阻まれると、感情体験のプロセスが不自然に抑制され、結果的にうつになったり、トラウマになったり、心身症や身体のバランスを崩してしまいます。 

弔いのプロセスで大切なこと 

思考で自分の体験を理解することも助けになりますが、それが感情的体験を抑制する方向に作用すると、助けにならないこともあることを知っておくことが大切です。 

今後の弔いのプロセスで大切なことは、何度も何度も悲しみや落ち込みを感じてもOKということを、全ての人が知っておくことです。

不安が教えてくれるもの

*この内容は2011年4月22日にUPした「震災後の気持ちと感情のケア-自分の軸と日常を取り戻すためにできること-」の続きです。

不安は、先行きや将来に向かって、自分が経験したことがない未知の領域や予測がつかないこと、過去の自分や他者の経験と重なる何かがあって、自分や他者の安全が脅かされる可能性があることを教えてくれる感情です。

不安に関しての誤解

一般的に「不安を感じるのは自信がないから」と判断することがあります。

しかし、不安は人間の自然な感情なので、自信があるとかないとかは直接関係ありません。

特に次のような時は、誰でも不安を感じます。

問題が起きているとき
結果がかわらないとき
変化を前にしたとき
何かを決断するとき
困難に挑戦するとき

不安の種類

不安は大きくわけると、「直接的・間接的に対処できる不安」と「感じるしかない不安」に区別することができます。

直接的・間接的に対処できる不安

対処できる不安は、子供の不安と大人の不安に分けて整理することができます。

子供の不安

子供の不安は、自分が経験したことがない未知の領域に関する不安です。

まだ経験したことがないことは、自分の経験からある程度の先行きや未来を予測することができません。

自分がしてみたいと思っていることでも、全く経験がないことは、不安を感じるのが人間として自然です。

予め下調べをしていたり、経験者の話しを聞いてイメージできていたとしても、いざとなれば不安を感じるものです。

ワクワクするけど、不安を感じるという時は、子供の不安です。

この不安は感じて当たり前の不安なので、それ以上でも以下でもなく、当たり前のこととして受けとめるだけでOKの不安です。

その上で、不安も感じながら、未経験の体験を他者のサポートうけるなどして安全に体験していくことで解消されていく不安です。

大人の不安

大人の不安は、人間関係や環境、自分の状況や立場、持っている権利や物、自分の価値観など、既にある何かが大きく変化したり、失うかもしれないといったことに関する不安です。 

この不安は、状況を確認したり、人間関係や仕事の内容であれば、相手に具体的に気になっていることを確認したり、環境の変化や権利や物を失うかもしれない場合は、具体的な事実関係を確認して、対処・対応できることはしていくことで解消されていく不安です。 

対処できる不安

対処できる不安は、ある程度、状況を自分でコントロールできる感覚を維持することができるようになると、不安に飲み込まれることなく、健全につきあって活用することができます。 

感じるしかない不安 

一方、感じるしかない不安は、自然災害や関わりがもてない状況や人間関係など、そのことについて、全く自分のコントロールが及ばない事柄に関する不安です。 

また、対処できる不安であっても、準備や他者の協力などで対処できる範囲や領域は、ある程度限られていて、状況が動き出したり、その時になってみないとわからないことは、感じるしかない不安になります。 

感じるしかない不安は、自分のコントロールが及ばないので解消する努力をしても結果が伴わないので、努力すればするほど「手に負えない不安に成長していきます」。

したがって、解消しようとするのではなく、不安に飲み込まれたり巻き込まれたりしなよう、自分が感じている不安とある程度の距離をとり、健康的に付き合っていくことがポイントになります。 

この距離をとる能力は、カウンセリングで育てて磨いていくこともできます。 

不安の対処方法の落とし穴 

よくある不安の対処方法に、気にしないようにとか、不安そのものを感じないようにしようとする方法を使う方もいらっしゃいます。 

それがうまくいく時もあります。

しかし、人間は生物として不安を感じるようにできているので、感情を感じないようしようとする努力は、自分の人間としての機能と戦うようなものです。

その戦いは、新しいストレスを自分でつくりだし、そのストレスで辛くなることがあります。 

不安に対処するための大切なポイント 

大切なのは、不安を感じないようにすることではなく、感じる不安と無理のないように付き合っていくことです。

付き合っていこうと思えば、相手の存在を認めることが第一ステップになります。 

不安と無理のないよう付き合っていくために大切なこと 

基本的に例外を除いて、不安を感じるのが好きな人はいらっしゃらないと思います。 

ゆえに、一般的には不安はネガティブとして嫌われがちで、不安を感じていること自体がストレスになっています。 

不安を感じると、不安そのものを何とかしなければと焦ってしまいがちです。 

不安を感じている時は、その原因よりも不安を感じているその体験そのものがストレスなので、身体にも負担がかかっています。 

そいう時は、ストレスへの対処として、無理をしないことが鉄則です。 

不安を感じて何とかしなければと焦る気持ちから行動して対処することも役に立つこともありますが、スローダウンしたり、自分のペースを大切にすることで、不安と適度な距離感がもてるようになると、効果的な対処方法がみえてきたり、もっと別のものがみえてくることもあります。 

「急がば回れ」です。 

また、ストレスの対処として、不安を感じている自分に気づいている時は、いつもより自分に優しくして、少しくらいうまくいかなかったり失敗しても大目にみてあげることが大切です。 

大切なポイントは不安そのものに焦点をあてないことです。 

人間として当たり前に感じる不安を感じていること自体を問題にして、ネガティブなものとして不安を排除しようとして、不安そのものを感じないように努力すると、結局、不安そのものに巻き込まれて自分のコントロール感覚を失い「手に負えない不安」に成長させてしまいます。 

不安と無理のないよう付き合っていくには、「この状況では、不安を感じるのは当たり前」という感覚をもつことが大切です。 

また、他の人が不安を感じないようなことでも、「自分はこの状況で不安を感じるのは仕方がない、当たり前」という感覚を持てるようになることも大切です。 

なぜなら、人それぞれ感じ方や大切にしている事が違うのも当たり前だからです。 

不安を共有することも大切 

自分の体験を受けとめて理解して協力してくれる人との間で「私は不安なんです」と自分の不安を共有して、不安と無理なく付き合っていくサポートを受けることができるようになります。 

共有できる相手がいると、自分の状態について、相手に感違いされたり、誤解されて、望まない人間関係の問題をつくらなくて済むうえに、不安と無理のないよう付き合っていけるようになっていきます。 

立ち止まることも大切 

不安を感じていることを自覚できたら、立ち止まって、ゆったりする時間を自分につくってあげましょう。不安を感じる辛さかからくるストレスに対処するために。 

その時間は、時に何が大切なことなのかをじっくり考えたり、確認するための時間になることもあり、それは自分の人生を豊かにしていくために必要なことを気付かせてくれる質の高い時間になることもあります。 

震災の影響による不安は「自然な不安」です 

被災地の皆さんは、その被災の状況により、3つの不安が混ざり合った体験をされてきたと思います。そして、まだそれは続いている方が大勢いらっしゃると思います。 

そして、被災地以外の人達も、状況が変わっていく中で、様々な不安を感じている人もいらっしゃると思います。 

また、自分は感じていなくても、周りに不安を感じている人がいるかもしれません。 

しかし、今の状況の中で感じる不安は「人間として自然で当たり前の不安」です。 

不安の感じ方や、不安との付き合い方も人それぞれです。 

大切なのは、不安に巻き込まれて、手に負えない不安に成長させないことです。 

そのためには、感じる不安は当たり前の不安として、目に前にあることや自分に出来ることを一つ一つ積み重ねていくことが、「急がば回れ」で、基本的な不安の対処方法になります。 

手に負えない不安に成長させるパターン 

仕事でもプライベートでも、震災の影響で大きく環境や状況が変わってしまい、今後の見通しが不透明な部分がある人もいらっしゃると思います。 

今後の状況を思うと、まだ起きていないことについて、危険や苦痛の可能性を想定して、胸騒ぎや嫌な予感がして、それに囚われてしまうこともあると思います。 

今回の震災では、被災地以外でも、震災の影響による環境や状況の変化によって、自ら望んでいないのに、この全てがセットでやってきている人もいらっしゃると思います。 

このような時、次のようなことで、手に負えない不安に成長させてしまうことがあります。 

状況とは殆ど関係ない出来事や確実性のない情報を材料にして否定的なストーリーを組み立ててしまう
事実を確認しないまま自分の主観を基準にした思い込みで、まだ起っていない状況の結末を決めてしまう
周囲の目や意見ばかり気になって、自分がどうしたいのかわからなくなってしまう
自分には直接関係ないにも関わらず、他者の問題の相談や手助けをしているうちに巻き込まれてしまい、自分も不安になってしまう
しくじったり、うまくいかないと全てが終わりだと思い込んでしまう
自分の不安の中身をみたくないとき

不安に飲み込まれない、巻き込まれないために 

こういった、不安を手に負えない不安に成長させるパターンにはまらないためには、まず、「私は今、不安なんだと」と認めてあげることがなによりも大切です。 

そして、次のような作業をして、不安に飲み込まれたり、巻き込まれるのではなく、不安と適度な距離をとり、自分のコントロール感覚を取り戻していきます。 

(1)「自分が今までにうまくできたこと」「自分なりに精一杯やってきたこと」「現在うまくいっていること」を思い出して整理することで、自分の日常生活の中に既に存在しているポジティブな資源や、自分の力を認めて、しっかりそれを実感する。
(2)そのうえで、不安の正体をみきわめるため、不安を感じている状況について事実関係と情報を整理する。
(3)不安と事実関係と情報を総合的にみつめて、自分はどんな安全や安心感を得たいのか、何を望んでいるのかを見極めて、自分で出来ることと、自分で出来ないことを整理して、どうするかを決めていく。状況が複雑だったり、色々な不安が混じっている場合は、小分けにしてどうするか決めていく。
(4)出来ることをベストをつくして実践していく。そして、自分で出来ないことは出来ないこととして手放して(こだわるのをやめる)流れにゆだねる。

一人で難しい場合は、必ず他者のサポートを受ける。カウンセラーのサポートを受けることはとても助けになります。  

最後に 

不安そのものに焦点をあてない。 

不安が教えてくる事柄に関して、自分が対処できることは対処する。 

不安そのものではなく、不安を感じる辛さからくるストレスに焦点をあてて、そのストレスに対処していく。 

最後にもう一度、「不安を感じるのは自信がないから」ではなく、不安は人間の自然な感情であり、大切な役割のある感情です。

不安に飲み込まれたり巻き込まれやすい方は、1回か数回のカウンセリングで、不安との関わりかたのコツをつかめるようになっていきます。 

身近に不安に飲み込まれていたり、巻き込まれやすい方がいらっしゃりその対応に苦慮されている方も、同じく1回か数回のカウンセリングで、その方との関わり方や、不安への対処に協力するコツを掴んでもらえるようになっていきます。 

不安のストレスで気持ちの余裕が少なくなっている方や、日常生活に生きづらさを感じている方は、一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けることをお勧めします。

2011年04月11日作成,2020年02月25日一部改訂

(文責 プロカウンセラー池内秀行)


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