
子供の行動に戸惑うのは、親として自然なこと
子供の予測できない言動に不安を覚える親は多いものです。
それは特別なことではなく、多くの家庭で日々起きている「ふつうのこと」です。
たとえば、急に泣き出したり、同じ質問を何度も繰り返したりする子供の姿に、「どう対応すればいいの?」と戸惑うことは誰にでもあります。
そんな時、「戸惑っているのは自分だけじゃない」と思えることが、少し心を軽くしてくれるかもしれません。
言葉にできない気持ちが、子供の行動に現れる
スーパーで地面に座り込んで動かなくなる我が子。
理由を尋ねても黙ったまま…。
実は「眠い」「暑い」「注目してほしい」といった気持ちが隠れていた、ということもあります。
行動そのものが、子供の精一杯のサインであることはよくあります。
子供の「なぜ?」と思う行動の背後には、成長の過程でまだ言葉にできない自己表現や感情が隠れていることがあります。
「答えられない」こと自体にも、大切な意味があるのです。
寄り添う姿勢が、言葉を育てる
「今日はちょっとイヤだった?」と声をかけると、「うん…」とだけ返ってくる。
そんなやり取りの中から、子供の語彙は少しずつ育っていきます。
子供には、まだ言葉にできない気持ちがたくさんあります。
だからこそ、親が望む「正しい答え」を求めるより、「一緒に探していく」姿勢が大切です。
「うまく言えなくても大丈夫」という安心感の中で、親が子供の様子を客観的に描写したり、気持ちを推し量って代弁したりする共感的な関わりは、子供が自分の気持ちを言葉にしていくための大切な体験になります。
そうした日々の積み重ねが、子供の表現力を育てていくのです。
親にも余裕がない日がある:心のコンディションに目を向けて
一日中忙しくてヘトヘトな日。仕事で疲れて帰宅し日など、思わずイライラして子供の話をちゃんと聞けなかった…。
そんな日も、誰にでもあります。
そんな時、「今日は疲れてるからごめんね」と伝えて、食事のあとやお風呂上がり、あるいは翌日に改めて話す約束をするだけで、子供が安心することはよくあります。
子供の話をじっくり聞く余裕が持てない日があっても、大丈夫です。
大人も心や体のコンディションによって、できることに波があるのは自然なこと。
うまく対応できない日があったとしても、それだけで「ダメな親」と言われる理由にはなりません。
大人同士の支え合いが、育児の負担を和らげる
「最近寝不足でつらいんだよね」と友達に話したら、「私もだよ!」と返ってきた。
そんな一言だけでも、なんだか心が軽くなることもあります。
誰かと気持ちを共有できることは、エネルギーの源になります。
しんどい時に「ちょっとつらい」と言える関係性が、親の心の健康を守ってくれます。
ひとりで抱え込まず、頼り合う工夫をすること。
それが、長く続く子育ての中で、ふっと息をつける大切な支えになります。
大人同士の関係でも、言葉にできない思いがある
「手伝ってよ」と言いたくても、うまく言えないまま気持ちを溜め込んでしまう…。
そんなふうに、思いを抱えたまま過ごしてしまうこともあります。
だからこそ、少し時間を取って「本当はどうしてほしかったか」を伝えることが、お互いの理解につながっていきます。
夫婦でも、友人でも、わかり合えない瞬間はあるものです。
大人同士の対話には、時間を調整して話す機会を持つこと、そして歩み寄ろうとする気持ちや、継続的な努力が求められる場面もあります。
話し合いが難しいときこそ、「今できる関わり」が力になる
すれ違う日々の中でも、「今日は子供の寝かしつけ、ありがとう」と一言伝えるだけで、空気が変わることがあります。
ほんの一言でも、相手への感謝や気遣いを伝えるのは、時に大きなエネルギーが必要です。
だからこそ、それが伝えられたとき、関係を和らげたり、前向きに動かす力になります。
完璧な理解や対話を目指す必要はありません。
大切なのは、お互いのコンディションに配慮しながら、「今できる範囲」で関わろうとする姿勢、わかり合おうとする気持ち、そして協力しようとする意志です。
そうした関わりは、現実を支える力となり、心の栄養にもなっていきます。
第三者のサポートも「分かり合う力」の一つ
親子関係がぎくしゃくして悩んでいたとき、カウンセリングで話を聞いてもらったことで、少しずつ見方が変わってきた——。
そんなふうに感想を語ってくださる方もいらっしゃいます。
「話す場所」があるだけで、気持ちが整理されていくことも少なくありません。
話がこじれたり、どうしても理解が進まなかったりする時は、外部の支援を頼ることも、大切な選択のひとつです。
カウンセリングなどのサポートを受けることは、「弱さ」ではありません。
それはむしろ、自分と相手との関係を大切にしたいという、大人としての優しさと意志の表れです。
子供も大人も「その時のベスト」は違っていい
「今日も怒っちゃったな…」と思う日があっても、「でも、最後に抱きしめられたから大丈夫」と思える。
そんな風に、その時々の「ベスト」を認めることが、長く続く関係を支える力になります。
誰もがいつも完璧でいられるわけではありません。
完璧を目指すよりも、「今の自分にできるベスト」を大切にすることが何より大切です。
そして、その時々のコンディションに寄り添いながら、お互いを理解しようとするプロセスを重ねていくこと。
言葉にしようとするその努力こそが、関係を深めていきます。
カウンセラー池内秀行
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Wrote this article この記事を書いた人
プロカウンセラー池内秀行
個人・カップル・家族・友人同士など、幅広い人間関係やライフステージの悩みに対応する心理カウンセリング・セラピーを提供しています。人間関係の悩み、家庭内の悩み、恋愛・夫婦関係の改善、職場での悩み、自己理解や自己肯定感の向上、不安・抑うつ・トラウマの癒し、生きづらさの解消など、多様なテーマに寄り添います。 クライアント一人ひとりの背景や課題に応じたオーダーメイドのカウンセリングを大切にし、安心してお話できる環境を整えています。初めての方でも不安なくご利用いただける丁寧なサポートを心がけています。 オンラインカウンセリングで海外在住の方にも対応 Zoomなどを用いたオンラインカウンセリングにも対応しており、海外在住の方、日本語での心理サポートを必要としている方にも多くご利用いただいています。時差や言語の壁に悩むことなく、安心してご相談いただけます。 東京から全国・全世界へ対応可能です。お気軽にお問い合わせください。